column

column・・・014ポーチは現代の路地

ポーチとは、道路から玄関扉の間のスペース。
家の中と外を繋げる、一呼吸置く「間」です。
このちょっとしたスペースですが、家に住むことにとても大きな影響があります。
ポーチとは、どんな場所なのでしょうか。

日本は古くから「露地」と呼ばれる、茶室へ繋がる通路がありました。
この路地を歩きながら俗世間を忘れ、
これから行われるお茶会に心を向けます。

このように、茶室へ入る前に心をゆっくりと整える意味合いがあります。
言わば、心の準備空間です。

現代では、このポーチが露地の役割となるでしょう。
家についてすぐ玄関ドアではなくて、「これから家に入りますよ」と一呼吸置く場所。
家族を迎えたり、お客さまを招くための大切な演出です。

例えば、
階段を数段設けて、歩く動作から階段を登るという行為に変えます。
動作が変わることによって気持ちが少し変化します。

壁を設け、入り口に回り込むまで玄関が見えない演出。
壁の向こうの玄関はどんなデザインかな?
お客さまをワクワクさせる演出のひとつです。

このように、
このポーチによる「間」が、家に入るという行為に物理的な奥行きだけでなく、
精神的な奥行きをもたらします。

植林により、林の中に入っていくような演出をしてみたり。

家に入る前に一息つく場所にも、目を向けてみてはいかがでしょうか。