interview

家族の絆もあたためる、薪ストーブのある家

山梨県甲州市のとある地域。昔から柿の本場と知られるこの場所は、紅葉の季節になると、家々の庭に「ころ柿」が干されます。そんな、暮らしと自然が調和する地域にお住まいのK様ご一家。それまで住んでいた八王子のマンションからここに越してきたのは、2013年のこと。この数年間の暮らしや家をつくろうと思ったきっかけ、当時の想いなど、さまざまなお話をうかがってきました。

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モザイク調の鮮やかな瓦屋根に煙突、真っ白な漆喰の壁......。西洋のテイストがありつつも、家全体の空気は落ち着いており、周囲ののどかな風景にとてもよく馴染んでいます。「私がこういう雰囲気が好きで」と話しはじめてくれたのは奥様。「結婚後しばらくは八王子に暮らしていましたが、もともと私たち2人の出身は山梨。いずれは山梨で暮らしたいねとずっと話していました」。

「僕が甲府地域へ転勤になるという話もあって。せっかくの機会だと思って、家を建てることにしたんです」とご主人。家を建てたこの場所は、夫婦それぞれの実家のちょうど中間地点。「お互いの家に何かあればすぐに駆けつけられる距離。私たち夫婦の拠点にちょうどよかったんです」。

それまでマンション暮らしだった2人にとって、家を建てるというのは非常に大きな選択。多種多様な住宅・ハウスメーカーを調べ、インテリア雑誌や建築雑誌も熟読したそうです。匠家を選んだ決め手は何だったのでしょうか。

「たくさん見比べていくうちに、大手のメーカーよりも、地域に根ざしてやっているところの方が設計に自由が効きそうだと感じたんです」とご主人。「そうそう。調べていくうちに"あれもしたい""これもしたい"とやりたいことが増えてしまって。そんな話を実家の母にしたところ、匠家さんのチラシを見せてくれたんです」。

チラシの写真を見たところ、2人揃って「ここがいいね」と感じたとか。「自然素材を扱っているところが魅力的でした。サイトを見ても、家の基礎構造からしっかり考えているんだなというのが伝わってきたんです」。

新しい暮らしの軸になった、待望の薪ストーブ

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「家づくりでやりたいことはたくさんあるのに、なんとなく抽象的な伝え方しかできなくて。そのふんわりとしたイメージを、匠家さんが少しずつかたちにしてくれました」と、実際に依頼してからの様子を振り返る奥様。

中でもいちばんこだわったのが、リビングにある薪ストーブだそう。「どうしても欲しくて、匠家さんに無理を言ってお願いしました。これでピザを焼いたり、チーズを溶かしたり......そんなスローライフに憧れていたんですよ」「薪ストーブの灯を見ながらワインを飲んだりね」。2人は顔を見合わせながら楽しそうに語ります。

「この吹き抜けも、部屋の間取りや戸の配置も、匠家さんが"薪ストーブの温かさが家全体に広がるように"と提案してくれたものなんです」とご主人。 「その他の細かい仕様なんかも、いろいろ聞きながらいっしょに決めていきました。実際に暮らしてみないとわからないことって多いでしょう。窓の幅や高さはこれでいいか、コンセントの位置はどこがいいか、毎日の掃除はしやすいか......少しでも気になれば、そのたびに質問してアイデアをもらっていました」。

家をつくることが、インテリアに興味を持つスイッチに

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「以前住んでいた八王子のマンションは、帰って寝るだけ......という日も多くて。インテリアにはそれほどこだわっていませんでした。でも、せっかく自分たちの家をつくるんだから、これを機にいろいろやってみたいと思うようになったんです。こういう家具が合いそうだなとか、こういう素材を取り付けてもいいよねとか......イメージを膨らませていくうちに、自分で素材を調べるのが楽しくなっちゃって」と話すのは奥様。

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薪ストーブの後方に設置した石材や床のタイル、寝室と吹き抜けをつなぐ小窓のガラス素材、照明類などは、すべてご自身で探し当てたもの。リビングとキッチンをつなぐテーブルやカウンター、その先に続く洗面台も、奥様の理想がしっかりと組み込まれているそうです。

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「フローリングの素材は月桂樹を使用しています。最初に素材のサンプルを見せてもらったとき、"質感はいいけど、色が少し明るいな......"と感じたんですね。匠家さんに相談すると、"素材にオイルを塗ると、色に深みが出ますよ"と提案してくれて。そのおかげで、質感も色味もイメージ通りの仕上がりになりました。他の素材で妥協しようかとも考えていたので、本当に嬉しかったですね」と奥様。住まい手とつくり手、双方のこだわりや知恵がいたるところに反映された空間になっています。

夫婦の暮らしやすさは、子育てのしやすさにも

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「子どもができたのは、この家に暮らしはじめてからなんです」と紹介してくれたのは、もうすぐ4歳になるという長女のSちゃん。「この家に住む頃には子どもがいるかもしれない......とは考えていたので、2階の個室などは多めに設けていました。でも当時はまだ2人暮らし。だからこの家は基本的に"大人目線"でつくられているんですよ。いざ住んでみると、子どもも案外のびのび暮らせていますけどね」とご主人。

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やんちゃ盛りで、あそぶのが大好きだというSちゃん。玄関、リビング、キッチン、洗面台......と、"薪ストーブの温かさが家中に伝わるように"とすべてつなげた空間は、親子での鬼ごっこにも最適だとか。「長女はいつも駆け回っていますね。吹き抜けがあるから家のどこにいても声が聞こえてきて、そういう面でもすごく安心できます」。

それぞれの"好き"が堪能できる空間を

1階の和室と、2階の収納階段をのぼると現れる屋根裏部屋。このふたつの空間は、奥様とご主人それぞれの"好き"を堪能するための空間だといいます。

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「私は着物が好きで、着付けもするので、どうしても和室が欲しかったんです。畳の方が着物を広げやすく、着替えもしやすいんですよね」。襖を開ければ解放的な空間になり、閉めればしっかりとプライバシーも守れる......親戚や知人が訪ねてきたときは客間として使っているそうです。

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「屋根裏部屋は僕が希望しました。趣味のものに囲まれて寛げる空間が欲しくて。部屋の出入りはハシゴにしようとも思いましたが、知り合いから"うちはハシゴだけど、のぼるのが面倒でだんだん行かなくなるよ"と言われ、今のかたちになりました」。

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「実は私、もう少し収納スペースが欲しいかも......と思っていたんです。そしたら匠家さんから収納階段のアイデアをいただいて。可動式であることも気に入っています」。奥様にとっても嬉しい工夫が凝らされていました。

家族の絆を、この家を中心に築いていければ

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庭に積んである薪は、ご近所の人が分けてくれたものだとか。「この地域は、人づきあいの距離感も丁度いいんです」と教えてくれた奥様。「リビングで寛いでいると、よく近所の猫が立ち寄って日向ぼっこしている姿が目に入ってきます。このあたりは本当にのどかで、住民の方もあたたかい人ばかり。子育てにもいい環境だと感じています」。

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最後に、ご主人にこれからの暮らしについて聞いてみました。「この家を中心に、家族が成り立っていけばいいなと思います。子どもの成長に合わせて、3人で楽しみながら日々の生活を続けていきたいですね」。

夫婦の想いが実現した家で、家族の絆を深めていく。家族3人での暮らしは、まだまだはじまったばかり。自分たちがどんなライフスタイルを築いていくのかを考えるのが楽しみだと、笑顔でこたえてくれました。